哀してる
思うに、大石にとって、可愛いと可哀想は同義なんだと思う。
そして、愛することと優しくすることも同義なんだと思う。
例えば大石は、おチビによく世話を焼く。守る。
身体が小さいから苦労するだろうとか言って。まるで母親みたいに穏やかな目で。
それに大石は、いつも手塚と一緒にいる。助ける。
生徒会長を兼任する部長殿は大変だろうから。その目はやっぱり穏やかで。
………大石は、心の優しいあの男は、一人じゃ生きていけない弱い生き物が放っておけない。
「ねぇ、大石…俺のこと、どう思ってる?」
だから俺は大石を酷く扱う。
誰もいない部室で嫌がる大石を仰向けに縫い付けて、脚を抱えて、何度も何度も打ち付ける。
「ひ…あ、あ、…!」
「顔、見せてよ」
抑えられない声の代わりに顔は隠したいのか、顔を覆っていた腕を剥ぎ取る。
涙に濡れた目は優しい目じゃなかった。怒りでもなかった。悲しそうな、それでいて穏やかな、哀れむような目。
「え、じ……」
「俺のこと、スキ?」
快楽に震える身体も、搾り出すようなか細い声も、全部、全部、俺を哀れんでる。
「スキ、だ。英二が、一番。だか、ら……あぁ!」
別に大石がおチビに甘かろうが手塚にくっついていようがどうでも良かった。
あいつらは気付いてないだろうけど、大石が見せるあの穏やかな目は、間違いなく哀れみの目だったから。
…それは今俺を見るこの目と全く同じ。
「違うでしょ大石」
俺は知ってる。
大石は優しいから、可哀想なものが愛しい。放っておけない。捨てることなんかできない。
だからもっと酷くしてあげるよ。そしたら大石は俺のことすっごく可哀想って思うんだよね。
「アイシテル、でしょ?」
だから大石、もっと俺のことを哀してね。
お前無しでは生きていけない、可哀想なこの俺を。
「返事は?」
そしたら俺がもっともっと、お前のことを哀してあげる。
「えいじ…あい、してるよ…」
「うん、俺も哀してるよ」
これで俺たち相思相愛だね。
2009.2.6 哀してる
大石は保護欲強そうって話だった筈が予想以上に英二が危ない人になってしまってごめんなさい。orz
あんまりエロくないけれど黒いのでこっち。